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「わたしたち、授業はじめます!」 女子美術大学 芸術学部 新学科【共創デザイン学科】参画への想い

Design Voice by Accenture Song

こんにちは!今日はとてもエキサイティングなニュースをお伝えします!

2023年4月、女子美術大学 芸術学部に新学科「共創デザイン学科」が設立されます。それにともなって、Accenture Songからデザイナーの山口と柳が非常勤講師となり、Accenture Songのデザインケイパビリティチームの支えのもと、1年間の授業を受け持つこととなりました!

今回の記事を通して、この取り組みは“ただ授業を受け持つ”以上の価値を意味するということを、皆さんにお伝えしたいなと思います。


新しい価値を創造する「共創型リーダーシップ」を育成する

女子美術大学 芸術学部 新学科「共創デザイン学科」は、多様な領域の人々と共に新しい価値を創造する「共創型リーダーシップ」を育成するために創設されます。

新しい価値の創造には、自ら問いを立て、その問いに答えを出していく自問自答のプロセスと多様な他者を巻き込み、共に構想し、共に成長しながら目標に導いていく「共創型リーダーシップ」を備えた人材が欠かせません。
女性に特化した芸術教育に120 年以上にわたって取り組んできた本学は、その強みと知見を最大限に活かし、今、そしてこれからの時代に求められる人材を養成するべく新たな学びの場を設立します。

女子美術大学 芸術学部 共創デザイン学科ウェブページ


偶然つながった点が授業を受け持つキッカケをつくる

そもそもどんな経緯で私たちが授業を受け持つこととなったのか。実は…ちょっとした偶然が重なって、今の機会につながっています。

これまでずっとデザイン・クリエイティブ・コンテンツデザイン職の採用活動リーダーとして活動していた柳が、女子美のキャリア支援センターの方々と23年度の新卒採用に向けたセミナーなどの打ち合わせをしていた時でした。

「産学での連携プロジェクトやイベントをもっと増やしていきたい」と話していた柳に対し、キャリア支援センターチームから、「まさに新しく設立される学科でやっていきたいことと噛み合いそう」とニーズがマッチ。

新学科の考えに共感した柳が「ぜひ新学科でプロジェクトやイベントをご一緒できませんか? を前に進めませんか?」と打診した頃、

「新学科の学科長となる松本博子副学長が、以前女性のディレクターの方とお話ししたことがあるようです」との返事が。

誰と話したか確認したところ、なんと山口が新学科設立にあたって「共創」について対談していたことがわかりました!

対談:ビジネスにおける共創とデザインの可能性

すぐに柳から山口にも進捗を共有し、2人で松本先生と打ち合わせする機会をセッティングいただきました。

そこからはトントン拍子に話が進み、山口をリーダーとして柳がサポートしていく形で、1年間の授業を受け持つことが決まりました


私たちが考える教育の重要性

ここからは授業を率いる山口と柳の教育に対する想いを語っていきます。

教育自体をデザインすることで、時代に取り残されない、次代のデザイナーを育てる

柳 太漢(ゆう てはん) / Taehan Yoo
Design Director / Visual Design Director
固定概念に囚われない視覚的アプローチ主軸に、様々な事業・企業変革を支援。「尖った」デザインを実現するために会社を粘り強く動かすビジネス側面の経験も豊富。Z世代はじめ次世代生活者や新たな時代に支持されるブランドを作り上げる視点を持ち合わせ、一過性のインパクトにとらわれないサービスの創出に長けている。2022年カンヌにて登壇。2021年にはAgency of the Year Japan/Koreaにて「Strateg / Brand of the Year」を受賞。

普段はビジュアルデザインを軸にデザインディレクターとして仕事をしている柳です。

僕はデザイン系人材の新卒採用活動をリードしています。アクセンチュアソングでデザイン系人材の採用がはじまってから早3年が経ちました。

アクセンチュアソングでは多様化する社会において、クライアント企業のパートナーとして、体験をデザインするという側面から、新しいビジネスをカタチづくっていく力を持った人材を、新卒・経験者問わず探し続けています。

日本の芸術・美術教育機関は、ビジュアルデザイン、プロダクトデザイン、アートなど、専門性を伸ばす教育が特徴かと思います。歴史を振り返れば、強い個の力を持った人材を、日本へ、そして世界へも輩出していることからもそのことは証明できると思います。

しかし現代においては、個の力を伸ばすだけでは、世の中に大きなうねりをつくれない時代になっています。

テクノロジーの発展によって生活者のおかれている環境は様変わりし、スタートアップビジネスの活性化、“一億総クリエイター”時代の到来、とても速いスピードで態度変容が絶えず起こっています。ともなって、平均化することができない複雑なニーズが続々と発生していて、多面的にモノゴトを捉えないと、そのニーズに応えていくことは非常に難しい時代になっています。

個の力だけで突破してきた時代と打って変わり、多様な才能や個性を掛け合わせたコラボレーションの力で世の中をデザインしていくことが必要な時代になってきている。

くわえて、デザインの定義はより広くなり社会に定着してきましたが、さらにこの数年でデザインの関与はより深くなってきています。企業のパーパスから組織、ビジネス設計といったレベルまで踏み込んできています

こうした時代の流れがある中で、もちろん、教育機関の取り組みも変わってきていますが、その速度は激流のように変化する社会と企業のスピードにおいついていないように思います。

これまで実際に、大学を卒業し仕事の現場に合流したプレイヤーたちが苦悩する様子を見ています。大学で学んできたことと実際の仕事とのギャップが、新卒たちの自信を喪失させ、仕事の進め方や手法に“慣れる”ことに大半の時間を費やしてしまうことがあります。その結果、1、2年のビハインドを作ってしまう。

それでは大学で学んだことが生かされずに終わってしまう。

そんな状態を変えるには、「デザインの最前線はどうなっているのか?」、事例や最新のメソッドなどの共有、時には本当のクライアントワークを組み込んだon the jobの授業を展開するなど、教育と仕事の現場をシームレスに繋いでいく取り組みが必要なのではないかと感じています

これまでは教育機関から人材を迎えるだけでしたが、自分達から能動的に教育機関にアプローチすることで、教育自体をデザインし、教育と仕事の現場のギャップをなくす、そして将来活躍するプロフェショナルを早い段階から育成する、そんなことに貢献したいと願っています。


教育現場と実務をつなぎ、体得していく教育目標

山口 沙和子 / Yamaguchi Sawako
サービスデザイナー / Service Designer
大学卒業後、国内経済系出版社に入社。雑誌広告営業を経て経済系デジタルメディア運営に携わり、セールス活動、広告商品開発、デジタルマーケティング、メディアプランニング等を経験。2017年にコンサルティング会社、アクセンチュアのデザイン組織へサービスデザイナーとして参画。これまで培ってきた生活者視点のリサーチや課題分析手法を駆使しながら、中長期にわたるサービスデザインプロジェクトをリードしている。

最初に学科の構想をお聞きしたときの率直な感想は、「大学生にここまでのことを本当に教えるのだろうか?」でした。ただその疑問や躊躇は、松本先生の「少し前まで高校生だったからと言って、みくびらない方がいいですよ。彼女たち、すごい力を持っていますから」という発言ですぐさま吹き飛びました。

授業を担当する私たちの役割は、生きた情報や知識を実務家としてリアリティを持って学生に伝え、学び続ける力を引き出すこと。さらには、一人ひとりの潜在的な力を信じることと理解しています。プロセスやメソッドなどスキルは実務をこなす上では非常に大事です。ただし、これだけでは物事が進まないことを、私たちは経験から知っています。今持っているスキルに限界を感じた時、私たちを助けてくれるのは、不確実なことや複雑なことに対する立ち振る舞い方や姿勢です。エモくいうと、パッションです。
スキルは過去の経験の蓄積です。前はこうできたから今度はもっと速く上手く同じことをしようと考え、反復をし、スキルを磨くことは私たちは日々やっています。ただ、これまでにない問いやリクエストが降ってきた時に、手が止まります。どのスキルでも対処できない、どうしよう…。

こういう場面はデザインプロセスで起こり得ます。本当にこの問いなのか?誰のためにものなのか?どれくらい複雑なのか?などいろんなことを考えなければいけない場面です。
ここでどのように立ち振る舞うのか、それを決めるのは、不確実性や複雑さを受け止める力です。

今回私たちが担当しますプロジェクトデザインの授業は、プロセスやメソッドの習得ではなく、5つの力を教育目標に掲げています。私たちの授業は、未来のビジネスをつくっていく次世代のデザインリーダーを対象にしており、その育成に欠かせない5つの力を大事にします。

  1. 問いを立てる力:
    デザインの価値を最大限発揮し、未来の生活をより良くするビジネスに寄与する問いを立てる力

  2. 分析する力:
    現象がどのような構成要素で成り立っているのか、細分化・詳細化し、新しい情報を引き出す力

  3. 観察する力:
    社会、人間、カルチャー、現象を観察し、その現象を中心に取り巻くさまざまな事情を理解する力

  4. 共感する力:
    関わりを持つ人や現象を見聞きし、喜怒哀楽の感情に寄り添う力

  5. 決断する力:
    VUCAの時代、必要なのは不確実性やリスクと共生し、その中で物事を実行する決断力

5つの中でも、個人的にとりわけ大事だと思っているのが、5つ目の「決断する力」です。正解がない問いを毎日追いかけるデザイナーは、不確実性と共生しながら、自分自身の判断軸を持つ必要があります。未来の答えは誰にもわかりませんが、未来を良くしたいという思いからとる決断に対して、周囲や自分自身への説明責任と道筋のために、何を大事にして決断したのかを言葉にすることが求められます。
いろんなものを見て、人の話を聞いて、友人と意見交換して、少しずつ自分は何を大事にする人なのかを自覚していくプロセスを取ることで、「決断する力」はつきます。時間がかかる行為であり、なかなか自信が持てないこともあります。自分の頭の中の言葉よりも、他の人の発した言葉の方が力強く、説得力あると感じるので、揺らぎがちな力です。最初はうまくいかないかもしれませんが、そのために同級生や私たちがいます。

Yooさんが前段で語った「個の力だけで突破してきた時代と打って変わり、多様な才能や個性を掛け合わせたコラボレーションの力で世の中をデザインしていくことが必要な時代」は、5つの力を育成する教育方針とあっていないのではないかと疑問を持つかもしれませんが、私たちの考えるコラボレーションは個の力があってこそのチームであり、コラボレーションです。

チームは個の力を必要とし、個の力はチームで強化されていきます。そして、さらに強くなった個の力によりチームのパフォーマンスは増していきます。このポジティブループを目指し、個人では辿り着けない到達点にチームで辿り着くことを目指します


私たちが担当する「プロジェクトデザイン」コースと今後の展開

私たちが担当する授業は、「プロジェクトデザイン」です。こちらが内容です。

様々な生活が受容される時代で、デザインの果たすべき範囲は広がっています。プロジェクトデザインコースでは、プロジェクトを形成・牽引し、社会にモノゴトを実装・浸透させていくための実務的視点を学び、未来のビジネスをつくっていく次世代のデザインリーダーを育てていきます。
社会実装を目指す時、デザインプロセスと同じくらい重要となるのが、課題設定力とアプローチの組み立て力です。
課題設定力は、デザインが捉えるべき範囲を定め、その後続くデザイン行為の方向性や深さを規定します。
アプローチは、デザイン課題を解決していく考え方と道筋を示したものです。
アプローチを組み立てる力は、与えられている環境下の条件を理解し、その道筋を立てる力です。
ゼロベースで取り組める課題はもはや存在しないという考えのもと、 各組織やチームが活動するための前提条件や扱っている課題の歴史的経緯など、アプローチを組む際に考慮すべき変数を理解し、実行可能なアプローチを作る必要があります。
両方の力は、デザインが価値を発揮するために、リーダーが身につけるべきスキルとして定義し、本コースで取り組みます

リーダーはチームを率いる存在です。一方、これからは率いるという言葉は正確ではないかもしれません。
デザインの力を信じ、メンバーの皆が心地よくパフォーマンスが発揮しやすいと思う強さでチームを束ね、個人の力を引き出し、より良い未来を語ることを得意とするメンバーがリーダーという役割を務めるということがより正確な描写だと思います。

誰しもがリーダーになる可能性があると思います。そして実際にその役割をやらなくてもリーダー的要素を少しばかり持っていると、この不確実な時代をより楽しめると思います。

来年4月の開講に向けて、準備すべきことは山積みですが、今後もこの場を使って取り組みの様子をお伝えしていこうと思います。

どうぞ、お楽しみに!

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