【Fjord Trends 2022】”Me over We(組織より個人)”の時代に企業に求められる受容文化とは
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【Fjord Trends 2022】”Me over We(組織より個人)”の時代に企業に求められる受容文化とは

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こんにちは。Fjord Tokyo プログラム・マネジャーの本間です。この記事ではFjord Trend 2022 で紹介されたひとつ目のトレンド、「あるがままに (Come as you are) 」について、翻訳を担当した私の解釈やFjord Tokyoでの取り組みも交えながらご紹介します。

Fjord Trend 2022 #1 「あるがままに (Come as you are) 」概要

このトレンドの趣旨は、「長引くコロナ禍でリモートワークが長期化したり、副業やフリーランスとして個人が自由な働き方を選択して生計を立てやすくなってきたなどの背景から、多くの人々が自分の人生で大切にしたい価値観を追求するようになっている。そのため雇用する側が、きちんと個人の価値観を受け入れ、その上でチームとして働く価値を明示しないと、貴重な人材が離れていってしまう。」というものだ。

このトレンドの中心的にあるのは、”Me over We(組織より個人)”という人々のメンタルシフトだろう。今まで個人の力は組織の力に比べると相対的に弱かったため、個人は組織の価値観に従わざるを得ないという構造があった。しかし昨今は副業やフリーランスを支援するプラットフォームや情報も増え、誰でも自分がやりたいことに気軽に挑戦しながら稼げるようになったおかげで、個人が自分の人生において大切な価値観を追求し、それを堂々と主張しすくなってきたのだ。

事実、2021年1月に米マイクロソフトが実施した調査によると全世界の労働者の41%が1年以内に会社を辞めることを検討していると回答しており(*1)、日本においても副業・フリーランス人口がコロナ前の2019年と比較して1.4倍に増加したという調査結果が出ている。

日本においてもフリーランス人口は増加。Fjord Trend 2022 日本語レポート発表資料から抜粋。

また、職場においてプライベートの人間らしい部分を表現することは弱みでは無く、それも含めてケアされるべきだという価値観も広まっている。東京2020オリンピック競技大会の男子シンクロ高飛び込みで金メダルを獲得したトム・デイリー選手は競技の合間に編み物をしている姿が話題を集めたが、デイリー選手にとって編み物はヨガや瞑想に並ぶマインドフルネスの一環であるらしい。

「編み物王子」として話題になったデイリー選手は、自身の編み物ブランドも立ち上げている。

あるグローバル調査によると、2020年には経営層の53%が職場でメンタルヘルスを保つことに悩んでおり、従業員の76%が職場がメンタルヘルスにもっと責任を持つべきだと回答している(*2)。今後はメンタルヘルスのケアという観点も含め、より一人一人の人生の価値観を尊重し、それに合わせた働き方を支援できるような設計が重要となってくるだろう。

人々の変化に制度がついて来ていない現状

一方、人々のメンタルシフトと行動の変化に企業の制度が追いついておらず、歪みが発生しているケースがある。YouTuberとして本業に関わりのないの無い内容を配信し稼いだ社員が懲戒処分となった例や、自宅以外で働くワーケーション制度が導入されている企業はわずか3.5%に留まるなど、日本においても企業はプライベートとワークの境界線を曖昧にすることにネガティブな場合が多い。

そのため現在ワーケーションをしている人の4割は企業に隠れて自己責任で行動している”隠れワーケーター”であるというデータもある。個人は自分の人生における優先順位に従って行動しても、業務や生活に支障が出ないことに気づきはじめている。しかし現在、自分の人生における優先順位や価値観をありのままに職場で表現できている人はどのくらいいるだろうか?

場所に囚われないリモートワークの時代。土地を移りながら仕事をする人も増えている。

社会変革が起こる時はいつも先に人の行動が変わり、その後に制度がついてくるのだという。”Me over We(組織より個人)”というメンタルシフトは、今後の大きな社会変革に先立つ兆候であるように思う。今起きている人々のマインド変化を軽視し既存のルールで縛り続ければ、従業員は徐々に去っていってしまうだろう。個人としての自由な生き方が選択できる時代に、あえて組織に所属したくなる理由は何だろうか?企業には、組織としてのビジョンを明示する一方で、個人の価値観を受け入れるよう企業側の価値観を変化させていくことが求められる。

では具体的にどうすれば、組織と個人の双方の価値観のバランスを取れるのだろうか?以下では、一例としてFjord Tokyoで実践している具体的な取り組みを紹介する。

Fjord Tokyoでの取組み#1 「個」を尊重するInclusion & Diversityの実践

Fjord Tokyoでは 多様性を推進するInclusion & Diversityの取り組みにとりわけ力を入れている。

複雑なデザイン課題に取り組むFJORDでは、多様な価値観の尊重がとても重要。

Fjord Tokyoは多国籍メンバーで構成され、一人一人育ってきた文化的背景も、キャリアバックグラウンドも、得意な言語も異なる。多様なメンバーの多様な価値観が錯綜するカオスな環境を力技でまとめようとすると、得てして立場が強い者・長く会社にいる者・日本語が母語である者などの声が大きくなり、その他のメンバーが静かに身を引く構図になりがちだ。

しかし、このような環境を放置するとアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)により、社会に新しい価値を提供するデザイナーとして仕事を進める上で重要な要素を見落とすといったリスクに繋がりやすい。多様性をチームとしての高いパフォーマンスに繋げるためには、単に多様なスキル・属性のメンバーを集めるだけで無く、各個人が多様性の重要性を認識してサポートし合う、組織としての文化形成が不可欠だ。

そのためFjord TokyoではInclusion & Diversityを推進する社内プロジェクトを立ち上げ、シミュレーション型の勉強会を行なったり、「多様性」を様々な切り口から可視化したり、プロジェクトの進め方についてそれぞれの立場からの改善アプローチを検討したりしている。

多様な価値観を受け入れながらのプロジェクト進行は、決して楽しいものでは無く、むしろ逆である場合が多い。似たもの同士では無いため簡単に共感することは難しく、背景を理解していなければ意味を取り違え、意見の対立も生まれやすい。しかしそこを乗り越え、互いの意見を深く交えてこそ、デザインチームとして新しい価値を生み出すことができるという認識の共有とポジティブマインドの形成こそが、最初の出発点だと考えている。

Fjord Tokyoでの取組み#2 「チーム」としての意識を高めるスタジオワーク

個を尊重する一方、チームとしてのビジョンの共有など、個人がチームに所属する意味づけも重要だ。Fjord Tokyoに所属する全てのメンバーは、クライアントに対する通常のプロジェクト業務以外に、Fjord Tokyoのための仕事である「スタジオワーク」に業務の20%程度の時間を使うことが推奨されている。

「スタジオワーク」でメンバー同士が自己紹介をしている様子。

この「スタジオワーク」には、Fjord Tokyoのマーケティング活動や上記で触れたInclusion & Diversityの取り組みようなFjord Tokyo内でのプロジェクト推進など、チームをより良くするための様々な活動が存在する。メンバーは自分の興味関心に従って手を挙げて取り組むこともできるし、自分で新しいプロジェクトを立ち上げることもできる。

通常、クライアントに対するプロジェクト業務では、そのプロジェクトに関わるメンバーとしか日常的に関わる機会が無く、どうしてもFjord Tokyoというチームへの所属意識が薄れがちだ。「スタジオワーク」を通してFjord Tokyoの様々な人と協業する機会を生み出し、一人一人が自分が熱を持てる分野で責任を持ってチーム運営に貢献していくことで、チームの価値や自分が所属する意味を自らで設計していく余白が生まれる。

人々の自分らしさを受け入れることが、組織の強さに繋がる時代へ

個人が「人生にとって重要なもの」を見つめ直し、自由に生き方を選ぶ”Me over We(組織より個人)”の時代に突入している。組織が個人の「人生にとって重要なもの」を受け入れ、むしろ個人の人生を後押しするような風土を設計できれば、継続的に人を惹きつける、柔軟で力強いチーム形成が可能となるのでは無いだろうか。Fjord Tokyoでは、これからも多様な個人の価値観を受け入れて助長するための、実験的な取り組みを行っていく。

出典
*1: https://www.microsoft.com/en-us/worklab/work-trend-index/hybrid-work
*2: https://tech.fb.com/ar-vr/2020/12/5-factors-that-will-change-how-we-work-in-2021-and-beyond/

筆者プロフィール

本間 美夏 / Minatsu Honma
プログラムマネージャー / Program Manager
システムエンジニア、ITコンサルタント、デンマークでのデザイン留学を経てFjord Tokyoにジョイン。デザイン/ビジネス/エンジニアの領域を横断した体験設計に興味があります。好きなもの:舞台芸術・建築・歴史
筆者Twitter アカウント: @minatsuhom

Fjord Tokyo公式Twitterアカウント: @Fjord_Tokyo
Fjord Tokyo公式Instagramアカウント: @fjord.tokyo
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