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新卒入社2年目の若手デザイナーがヤングカンヌに挑戦して学んだこと

ヤングカンヌ(正称ヤングライオンズコンペティショ)とは、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルが主催する30歳以下のプロフェッショナルを対象とした公式プログラム。各国で予選が行われ、代表となった上位のチームは、現地で与えられる課題に対し、定められた時間内に作成する映像や企画書、プレゼンテーションによってGOLD, SILVER, BRONZEが決定されます。今年の国内予選の課題は「アジアの海洋プラスチック汚染問題を解決するために、クリエイティビティの力をどのように使うことができるか」。(一部公式HPから抜粋)

今回は、ヤングカンヌ国内予選のデザイン部門でショートリスト入りを受賞したアクセンチュア ソングの沢崎・布垣より、国内で行われたヤングカンヌ予選に挑戦して得た学びをレポートさせていただきます!

左:沢崎美季(Visual Designer)、右:布垣森彩 (Song Creative Unit Designer)

ヤングカンヌに参加した経緯は?

布垣:最初はカンヌにヤング部門があるのを知らなかったのですが、チームのチャットでDroga5の浅井さんが今年のプリント部門の審査委員長をされることを知り、参加したいと思いました。ヤングカンヌへの参加はペアでの参加が必須だったので、同期の沢崎さんに声をかけました。

沢崎:私は正直ヤングカンヌというコンペ自体、布垣さんに聞いて初めて知りました。社会人としてコンペに参加した経験がなかったので、話を聞いた時は、自分にとって良い経験になりそうだな!と思いました。

受賞後、周囲の反応はいかがでしたか?

布垣:たくさんお祝いの言葉をいただきました。チームの定例会でもわざわざ資料を作っていただけて嬉しかったです!

沢崎:私の所属するチームでは、個人でコンペに参加するケースは少ないので、想像していたより反響は大きかったですね。正直こんなに祝福いただけるほど大きな賞だとは思ってなかったので、驚きました。(笑)

業務もある中でどのように進めていきましたか?

布垣:最初に沢崎さんがアイディエーションをしようと持ちかけてくれて、オンラインで利用可能なホワイトボードツール等を用いて各自30個ずつ参考になりそうな記事や事例、デザインなど、アイデアになりそうな種を集めました。

沢崎:そうですね。集めたアイデアの要素の中からポテンシャルのあるものを拾い集めて、一つのアイデアに集約していきました。デザイン部門のテーマは、“アジアにおける海洋プラスチック汚染問題の解決策を見出すためのビジュアル・アイデンティティを作成すること“だったので、海洋プラスチックに関する記事やプラスチックをデザインに活用したビジネス事例などを参考にしましたね。

事例などを集めたオンラインホワイトボード

一番大変だったことは何ですか?

布垣:ただただ時間が足りなかったですね。課題が発表されてから提出するまで、約10日間という限られた時間の中で、業務と並行しながらアイデアを形にするのがとても大変でした。特に私たちはアイデアが意識を高めるためのものなのか、アクションを起こせるものにするのか最後まで悩みました。最終的に今回は意識を高めることに重点を置き、いかに海洋プラスチック汚染問題を自分ごと化できるかをアイデアの軸として進めていきました。

沢崎:今回のテーマは広く直接的な解決手段を考えるのが難しいものだったので、具体的なアウトプットとしてデザインに落とし込むのにかなり苦戦しましたね。本当にこれは人々が使いたいと思うものなのか?このアイデアで人々の意識が変えられるのか?常に考えながらコンセプトを練っていきました。

アイデアはどのようにブラッシュアップしていきましたか?

布垣:海のプラスチック汚染を体験できるものがいいと考えました。海から離れて生活を送る人々が、現実に起きている環境汚染を自分ごと化し、その深刻さを理解するのは難しいので、行動するきっかけを作るために、海で起こっていることを日常生活の中で体験できるものを考えようというのがアイデアの始まりです。

沢崎:最終的にアウトプットとして作ったものがバスボム(入浴剤)です。バスボムを汚染された海に見立て、浴槽に浮かべるとその中からマイクロプラスチックが出現し、海の汚染を体験できます。今回の課題の条件では、著作権をクリアしたイメージをそのままアウトプットに使用することが許可されていたのですが、あえて実物のバスボムを作ることにこだわりました。実際にプロトタイプを作ることで、私たち自身もアイデアを体験し、バスボムの溶け方やプラスチックの浮かび上がり方を体験・研究しながら、ブラッシュアップしていきました。

ここだけの話、自宅で食紅、重曹、クエン酸を混ぜてプロトタイプを作ったので、部屋が海のように真っ青になりました(笑)部屋を汚しながらも、実際に作ったバスボムを浴槽に浮かべて、うまく溶けて中からプラスチックが浮かんできたときは嬉しかったです!

布垣:バスボムは世界の海域に合わせて6種類のものを想定し、それぞれの色や特徴、回収されるゴミの種類や量などによってバリエーションも作りました。どこの海域にゴミが多いのか実際に体験することができます。バスボムが溶けた後は、付属の網でゴミを回収するアクションを含めることで、ゴミを回収する大変さや影響の大きさを知ることができるようになっています。私自身でも浮かんできたゴミを回収してみましたが、結構面倒くさかったです(笑)でもこの一連の体験が人々の意識の変化につながるのだと思いました。

最後に今回ヤングカンヌに挑戦して学んだことを教えてください!

布垣:今回私たちはデザイン部門でショートリストという賞をいただきました。この経験を通して、良いアイデアとは、身近なものでファーストインプレッションが強くインパクトがあり、一連の体験を通して行動を起こすことができるものだと学びました。それが一つでも欠けていたらショートリストには入らなかったかもしれません。

また、賞を取ったチームの多くは、生活の身近にあるものをベースにビジネスとして企業を巻き込めるアイデアをデザインしている印象でした。私たちのアイデアは、全員が日常的に使うものではなかったので、少し差がついてしまったのかもしれないですね。

今回初めて参加してわかったこともたくさんありますし、世界の若手デザイナーに挑戦できる数少ないコンペだと思うので、また挑戦できたらいいなと思います!

沢崎:ヤングカンヌに参加したことで、難しい社会課題と向き合い、限られた時間の中で私たちなりの解決策をアウトプットとして表現しました。その結果としてショートリストという賞をいただけて大変光栄です。日々の業務でも、伝えたいアイデアや考え方に関わらず、人々や社会にインパクトを与えることができる表現やビジュアル作りを実践していきたいです。

この記事が少しでも若手クリエイターたちの力になり、世界で戦っていけるよう互いに切磋琢磨し合えると嬉しいです!!

筆者紹介

沢崎 美季 / Miki Sawazaki
武蔵野美術大学 大学院を卒業後、アクセンチュアに新卒入社。ビジュアル領域だけではなく、サービスデザインやインタラクションデザインなど幅広い領域のプロジェクトに携わる。

布垣 森彩 / Morisa Nunogaki
多摩美術大学統合デザイン学科を卒業後、Accenture Songデザイナーとして新卒入社。デジタル広告を中心に、分野を問わず幅広い業界のデザインアウトプットを担当。

アクセンチュア ソング Instagramアカウント: @song.design.japan
アクセンチュア ソングではデザイナーの方の採用も積極的に行っています。詳細はこちらから:


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