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【インタビュー】 英国でのデザイン経験から見たブランドデザインの本質と、Fjord Tokyoでの新たな挑戦

こんにちは。Fjord Tokyo プログラム・マネジャーの本間です。今回はFjord Tokyoで働くデザイナーへのインタビュー企画の第一弾として、ブランドデザイナーの都志についてご紹介します。

"ブランドデザインにおける本質は、社会や人を起点とした目指すべき世界観を最初に定義し、それに基づいて顧客体験を構想して、きちんと社会に実装していくこと。世界観を描くだけの机上の空論で終わらせず、専門領域を越境して本質的に企業や社会を変革する"

ロンドンのクリエイティブエージェンシーを経てFjordのブランドデザインリードとして活躍する都志が見据える、ブランドデザインのあるべき姿とは?これまでの経験から紐解いてご紹介します。

プロフィール
都志朋弘/ Tomohiro Tsushi
ブランドデザインリード/ Brand Design Lead
京都工芸繊維大学及び、英国Royal College of Art (RCA)を卒業後、ロンドンを拠点とするグローバルクリエイティブエージェンシーにて、ブランド体験の設計とビジュアルデザインに従事。帰国後、スタートアップにて、ブランドコミュニケーションと体験設計に携わる。2019年よりFjord Tokyoへ参画。

①元々デザイナーを目指したきっかけを教えてください

高校まではサッカー一筋で、卒業後の進路も特に思い浮かばなかったので、家にあった各大学のパンフレットを10個くらい並べて、目を閉じて開いた瞬間に、直感的に面白そうだと思ったところを指で差すという謎のゲームをやったんですね(笑) それがたまたま、京都工芸繊維大学のデザイン学科だったんです。「どうしてもデザイナーになりたい!」という強い想いから始まった訳ではありませんでした。

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②そんな都志さんが、世界的に著名なデザイン学校であるRCAを目指されたきっかけは?

京都工芸繊維大学では建築の勉強が必修だったのですが、課題をやればやるほど、そのスケールの大きさや、アウトプットまでに掛かる膨大な時間に、自分には合わないのではと思うようになり、よりクイックにアウトプットができるグラフィックデザインの勉強を大学2年の頃から始めました。

ただ、学び始めてから自分のデザインの質と世の中に出ているものを比較した時に、「このまま卒業してもグラフィックデザイナーの世界に入ったら戦えない」と感じたので、大学院に行こうと考えたんです。日本の大学院も検討はしたのですが、小さい頃からサッカーで海外遠征に行っていて、漠然と海外に憧れを抱いていたこともあり、海外の大学院を目指すことにしました。

とはいえ、その時は大学院もどこに行ったら良いかも分からなかったので「世界一 芸大」とGoogleで検索したらRCAが出てきて、ちょうど英語圏ですし、目指すなら世界のトップと言われるところを目指してみようと、RCAにしました(笑) 

あとPlus81というデザイン雑誌が当時イギリスのグラフィックデザイン特集をやっていて、僕の好きなグラフィックデザイナーさんの多くがRCA出身者だったというのもきっかけになりました。その時から、イギリスでグラフィックデザイナーになりたいなと漠然と思うようになりましたね。

③RCAで印象に残った体験を教えてください

RCAではビジュアルコミュニケーションという学科に入ったのですが、その学科で有名な”Design Without”という課題が、今の基礎となる考え方にもつながっています。端的に言うと「xxすることなくデザインしよう」という課題で、例えば建築とかタイポグラフィ等のお題が渡されて、そのお題に対して「それを作ることなくデザインして」という課題なんですね。要は「タイポグラフィを作ることなくタイポグラフィってどうやって表現できますか」という問いなのですが、そう考えると、タイポグラフィの本質を考える必要が出てくるんです。タイポグラフィを構成する要素は、視覚的に見えているAという形かもしれないし、発音かもしれない。そのような構成要素を分解して、改めて再構築してアイディアとして出していく過程を学ぶのですが、この方法は今も自分がアイディアを出す際に活きていますね。

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④RCA卒業後は何をされていたのですか?

RCA卒業後はロンドンでグラフィックデザイナーとして働きたいという想いが強く、複数のロンドンのデザインエージェンシーでのインターンも経て、最終的には Winkreativeというクリエイティブエージェンシーで2年程勤務しました。そこではCI(コーポレート・アイデンティティ)/VI(ビジュアル・アイデンティティ)を基本としながら、クライアントのブランドの世界観をビジュアルで表現していく仕事をしていました。 同僚デザイナーが優秀で、アイディアやコンセプトを出す際の視点も面白かったですし、特に色の組み合わせ方は国籍や文化によって多種多様で、学ぶことがとても多かったです。

ただ、ビザの更新の手続きをしている最中にイギリスの欧州連合離脱があり、外国人の雇用制度が厳しくなったため、日本に帰国することになりました。帰国後は、フリーでプロジェクトベースで働いたり、事業会社のデザイナーとして働いたりしていました。

⑤日本とイギリスのブランドデザインにどのような違いがあると感じますか?

ゴールへのアプローチ方法と意思決定のスピードが大きく違うと感じています。欧米のクライアントの場合は、最初に先方から明確な要件が提示され、その要件に沿っていればクリエイティブのTOBE像はエージェンシーにお任せというクライアントが多かった印象です。一方で日本の場合は、要件があまり定まっていない中でこちらが描いたものをまず一度クライアントに見せることで意見を引き出し、次第に要件がクリアになっていき、すり合わせを重ねてゴールに辿り着くことが多い印象です。欧米だとこういう世界観があるべきというTOBE像から落としていくアプローチが多いですが、日本だとクライアントの考えの少し先を提示していくケースが多いと感じますね。

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⑥Fjordに興味を持ったきっかけは?

これまでデザインをやっていて限界を感じていたのが、世界観を描くだけでは結局企業や社会を変革することが難しいという点なんですね。もちろんビジュアルスキルは強みにしながらも、もう一歩新しい挑戦をしてみたいなと考えていたところで、友人がAccenture Interactive/Fjordを紹介してくれたんです。コンサルティング会社がデザインをやるという取り組み自体が新しくて面白そうだったので一度話を聞きに行きました。ただFjordはデジタルのデザインに強みを持っているという認識だったので、ブランドに軸を置く僕は合わないかなと懸念していたのですが、「ビジョンを定めた上で、あるべき体験を考えていくチームを立ち上げようとしている」「世界観を作るだけでは社会は変えられない」という話を伺い、僕が抱えていた問いとかなり近しいことを語られていたので、ここでなら何か一緒にできるかもしれないと感じ、入社に至りました。

⑦ブランドデザインにおける本質は何だと思いますか?

今まさにFjordが目指しているところでもありますが、社会や人を起点とした目指すべき世界観を最初に定義し、それに基づいて顧客体験を構想して、きちんと社会に実装していくことだと思います。

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(詳細は前回記事:「Fjord Tokyoが実践するブランドデザインはここが違う」)

これは企業全体を変革していくような壮大なアジェンダになり得るので、通常はある一つのデザイン会社がご支援できる範囲では限界があります。ただAccenture Interactive/Fjordの場合は人材のケイパビリティが圧倒的に豊富なので、描いた世界観を机上の空論で終わらせることなく、本質的に企業や社会を変革するお手伝いができると思っています。その大きな構想の一端を担うデザイナーとして働けるというのは、とてもやりがいがありますね。

⑧これからFjordで挑戦したいことはありますか?

入社してからこれまで企業のブランドパーパス作りには携わってきていますが、大きな構想を実現するには色々なチームを巻き込んだ、長いスパンでの取り組みが必要になってくるんですよね。単純にブランドだけを考えれば良いのでは無く、市場に出したときに儲かるか・生き残れるかといった観点まで含めて考える必要があります。そのためビジネスやストラテジーなど、あらゆる専門領域のチームを越境して実装まで支援するということを、Fjordのブランドチームとしてもやっていきたいなと思っています。

筆者プロフィール

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本間 美夏 / Minatsu Honma
プログラムマネージャー / Program Manager
システムエンジニア、ITコンサルタント、デンマークでのデザイン留学を経てFjord Tokyoにジョイン。デザイン/ビジネス/エンジニアの領域を横断した体験設計に興味があります。好きなもの:舞台芸術・建築・歴史
筆者Twitter アカウント: @minatsuhom

Fjord Tokyo公式Twitterアカウント: @Fjord_Tokyo
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