Fjord Tokyoで起きているブランドデザインの進化
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Fjord Tokyoで起きているブランドデザインの進化

Design Voice by Fjord Tokyo

はじめまして。ブランドデザインチームの上江洲(うえす)と申します。グローバルに展開するデジタルエージェンシーでクリエイティブディレクターやストラテジープランニングディレクターとして働いた後、2021年の10月にFjord Tokyoのブランドデザインチームにジョインしました。今回は私のバックグラウンドを含め、Fjordに入社してから現時点(約半年)までの気付きをまとめます。

5秒からの脱出

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私がグラフィックデザインを学んでいた学生時代、ブランディングは「5秒で勝ちに行け」と言われてきました。瞬時に競争優位性を理解させるような、芯が通ったアイデンティティを生み出すことが「5秒で勝つ」ということです。 私はこの考えにずっと疑問を持っていました。確かに、店頭やマス広告など短い時間で勝負しなければいけない時は有効かもしれない。でも、使う人とブランドの繋がりは5秒で終わらないのではないか。

「ブランド」はこれまで、企業やサービスのアイデンティティの核となるビジュアルやことば、そのデザインシステムを意味してきました。15年前の「ブランド」は競争優位を5秒で理解させる瞬発的なパワーを指し、つまり企業やサービスの「顔」や「キャラクター」を創造することを意味しました。

しかし社会がよりデジタルにシフトした今の時代、当然ながらブランドと人々の関係は5秒で完結しません。ブランドは、5秒のコミュニケーションから50年先のストーリーテリングまで範囲が広がったと言えます。プロダクトやサービスの品質はもちろん、ロゴやパッケージ、広告、SNSなどのコミュニケーションから、店頭やEC・アプリでの体験、アフターサービスなど顧客との長期的関係を築く活動、そして従業員の皆さんがどのように働くか、さらに、企業が50年後の社会への影響を予測し行動することも全て「ブランド」を形成するインタラクションです。

このように意味を変えながら領域を広げてきた「ブランド」は、ビジネスの根本的な課題発見・解決をより広範囲に包含するようになりました。 Fjordのブランドデザインは統合的にブランドインタラクションを考えることだということをこちらの記事でもお話ししています。タイムマシンがあったら、「胸を張りたまえ、君は正しい疑問を持っていた」と、学生時代の私に教えたいです。

フィクションからの脱出

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上記がFjordで学んだこと全てではありません。前職に勤め始めた頃(7年前)、すでに世界的に広告の比率の大半をデジタルが占めており、それに伴ってタッチポイントやエコシステムを総合的に考えるエクスペリエンスデザインが基本となっていました。ただ、新しいサービスやプロダクトのアイデアを考案する時、当時の自分にはどうしても乗り越えられない壁が2つありました。

壁1)プロトタイプ/プロモーション止まりなアイディア
壁2)新しいビジネスへの構造的な障壁

壁1)プロトタイプ/プロモーション止まりなアイディア
新規性が高いアイデアを発案しプロトタイプ化できたとしても、ビジネスへの仕立てが難しかった。いかに顧客のインサイトに焦点を当てたとしても、ビジネスオーナーは誰か、運用体制はどうするか、ランニングコストはいくらか、いつ黒字転換するのか、どのように事業社にポジティブな影響を与えるか、などを整理・調整することはとてつもなく時間がかかることだった。

不確定要素が無数にある中、それに関わるメンバーの工数を含めた投資価値を定義することも、難易度がとてつもなく高かった。いくら魅力的なアイデアのストーリーを持っていても、ビジネス的な価値がフィクションのままでは企業の中での新しいことに挑戦する優先度はどんどんと下がってしまう。 ゆえに、既存ブランドの一時的なプロモーションや既存サービスの改善で終わってしまうことが多かった。

壁2)新しいビジネスへの構造的な障壁
既存の製品・サービスの売り上げにアイデアが貢献するという直接的な相関が見えなければ投資価値がゼロと判断されることが多く、それへの打ち返しができなかった。また、エージェンシーとして売りたい物(メディアやサービス等)がちゃんと売れることを優先しながら納品主義の下に短期利益目標を達成することを優先していた。このことも新しい挑戦を遠ざける要因の一つでした。これでは縮小する業界を生き残る、または業界ごと変革するような取り組みは生まれづらい。

この2つの壁を越えられないと、新しいビジネスはいつまでも現実化せず、フィクションから脱出できないと悩んでいました。同じような課題を抱えているデザイナーは多いのではないでしょうか。

事業や企業そのものとしてのブランド変革へ

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アクセンチュア インタラクティブ/ Fjordに入って約半年、一番の気づきは「Fjordのブランドデザインは、単に顧客と企業の関係性のルールをつくることだけではない」ということでした。持続的に発展するブランドを設計するためには、 表面的な顧客体験の設計だけでなく、企業内部の現状課題と向き合い、役員の方々も現場の方々も腑に落ちる解決策を生み出していかなければなりません。つまり、新しい事業の立ち上げには企業そのものの変革が伴い、進化した企業は社会にとってどんな存在なのか、また、働く人々がどうやったら気持ちよく自らの能力を拡張し続けられるのか、ということもすべて入ってきます。それが、フィクショナルな「アイデア・ファースト」のサービス立案とは異なるところでした。 ではマーケットサイズからターゲットやニーズを割り出す方法が正解かというと、そうではない。

ビジネスKGI/KPIやターゲット規定もない本当に「0」の状態から、クライアントチームと、アクセンチュア インタラクティブのビジネスデザインチーム、Fjordのサービスデザインチームが一緒に調査・アイディエーション・体験設計・戦略そして組織組成等を並行して構想・実行します。 その過程で、それぞれのピントを合わせたり、わざとぼかしたり。それは、レンズを覗き込み、一本の壮大なノンフィクション映画を制作しているような感覚に近いと感じています。

ブランド変革のためのビジネスレンズ
フィクショナルなデザインアイデアから脱出するには、最初からキメでプロットを創作したり登場人物の心理の流れを考案したりするのではなく、画角と焦点を模索する中で現実を切り取った素材からストーリーを発見していくことが重要です。

そもそもの主題の設定(課題発見や問題定義)が難しくても、レンズの「画角」と「焦点」のイメージを連続的に持つことが役立つと考えています。 

画角:どこまで画角に入れるか = 課題の範囲はどこか
既存事業、企業全体、競合・市場、社会、世界、地球
焦点:どこにピントを合わせるか = 優先してフォーカスする課題は何か
社会潮流、ユーザーが抱える課題・障害・理想 

カルチャーに影響を与えるコンポーネントをデザインする
画角と焦点が最初からピタッと決まることはほとんどありません。定性・定量調査からこれらを割り出していきます。プロジェクトを進めていく中で、例えば画角が一事業から企業全体・社会を含めるまで広がり、被写界深度もどんどん深くなっていくことがあります。 課題範囲の広さを定義しピントを合わせるべき登場人物を決定していくことで、発見される課題が明らかになっていきます。 このピントの絞り方はすなわち、企業そのものに影響を与える要素(コンポーネント)をデザインすることであり、企業カルチャーを変える礎になっていくと考えます。

ブランドを連続した映像として捉える
従来のビジネスアプローチにおける「画角」は市場規模の一択でした。 でも、社会潮流やユーザーインサイトから「絞り」を変えることでより深い視点や可能性が開けます。そしてストーリーを一枚の画像として永遠に変化しないものとして捉えるのではなく、連続した映像として編集し続けることが重要だと考えます。

クライアントと伴走しながら全員でファインダーを覗き込み、発見を楽しめるかどうかもとても大事なことだと実感しています。最初はあえて浅い被写界深度でボケの美しさや曖昧さも楽しみながら、時には超広角で広域にシャープなピントを合わせながらドキュメンタリーの誠実さとクリエイティブな洞察力を持ってノンフィクションとしてのビジネスを紡いでいくことがFjord流であり、今のデザイナーに求められていることだと感じています。

ジョイン6ヶ月目、修行も道半ばではありますが、新領域に突進していく面白さを感じています。これからも企業が持続的に進化し続けるためのブランドやサービスの光を形にしていけるよう、ビジネスのレンズを磨き続けたいと思います。

筆者プロフィール

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上江洲 佑布子 - Uesu, Yuko
Brand Designer
東京造形大学グラフィックデザイン専攻、オランダのロッテルダム大学大学院で Lens-Based メディアデザイン&コミュニケーションを修了。前職はグローバルデジタルエージェンシーにて、クリエイティブディレクター/ストラテジープランニングディレクターとして、大手企業からベンチャーのマーケティングや新規事業立上げサポートなどを担当。2021年10月にFjordに参画し、ブランド変革プロジェクト等に携わる。

Fjord Tokyo公式Twitterアカウント: @Fjord_Tokyo
Fjord Tokyo公式Instagramアカウント: @fjord.tokyo
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